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科学研究費助成事業新学術領域研究(研究領域提案型)2018~2022年度
マルチスケール精神病態の構成的理解

領域代表 林(高木)朗子 
理化学研究所 脳神経科学研究センター 多階層精神疾患研究チーム

研究成果

Achievement

研究成果

A02公募研究代表者である名古屋市立大学・竹内雄一研究員らの国際共同研究グループは、神経・精神疾患時に見られる周期的脳活動の異常および介入による脳活動の修飾法を、総説としてまとめました。
Yuichi Takeuchi and Antal Berényi
Oscillotherapeutics – Time-targeted interventions in epilepsy and beyond
Neurosci Res 152: 87-107 (2020).
https://doi.org/10.1016/j.neures.2020.01.002

A01計画研究分担者である新潟大学・那波宏之教授らは、福島県立医科大学との共同研究により、炎症性サイトカインEGFの新生児ラット暴露が、成長後に統合失調症患者に観察される音程ミスマッチ陰性電位低下を引き起こすことを発見しました。
Eiichi Jodo, Hiroyoshi Inaba, Itaru Narihara, Hidekazu Sotoyama, Eiko Kitayama, Hirooki Yabe, Hisaaki Namba, Satoshi Eifuku & Hiroyuki Nawa:
Neonatal exposure to an inflammatory cytokine, epidermal growth factor, results in the deficits of mismatch negativity in rats.
Scientific Reports  9, 7503 (2019).
https://doi.org/10.1002/npr2.12090

A01計画研究分担者である新潟大学・那波宏之教授と稲葉洋芳特任助教らは、福島県立医科大学との共同研究により、統合失調症のラットモデルを評価するための音長ミスマッチ陰性電位の最適化法を確立しました。
Hiroyoshi Inaba, Hisaaki Namba, Hidekazu Sotoyama, Itaru Narihara, Eiichi Jodo, Hirooki Yabe, Satoshi Eifuku, Hiroyuki Nawa:
Sound frequency dependence of duration mismatch negativity recorded from awake rats.
Neuropsychopharmacology Reports (2019) on line publication.
https://doi.org/10.1103/PhysRevE.100.032110

A01計画研究分担者である新潟大学・那波宏之教授らは、難治性統合失調症の治療に用いられるクロザピンが、上皮成長因子EGFの受容体ファミリー分子ErbBキナーゼを阻害することを発見しました。
Yutaro Kobayashi, Yuriko Iwakura, Hidekazu Sotoyama, Eiko Kitayama, Nobuyuki Takei, Toshiyuki Someya, Hiroyuki Nawa:
Clozapine-dependent inhibition of EGF/neuregulin receptor (ErbB) kinases
Translational Psychiatry 9, 181 (2019).
https://doi.org/10.1038/s41398-019-0519-1

A03計画研究分担者である理化学研究所・吉川武男チームリーダーは、熊本大学・岩本和也教授、理化学研究所・加藤忠史チームリーダー、千葉大学・橋本謙二教授らとの共同研究で、硫化水素の産生亢進が一部の統合失調症の病理病態に関係していることを報告しました。この結果は、新しい薬をデザインする際に役立つことが期待されます。
Ide M, Ohnishi T, Toyoshima M, Balan S, Maekawa M, Shimamoto-Mitsuyama C, Iwayama Y, Ohba H, Watanabe A, Ishii T, Shibuya N, Kimura Y, Hisano Y, Murata Y, Hara T, Morikawa M, Hashimoto K, Nozaki Y, Toyota T, Wada Y, Tanaka Y, Kato T, Nishi A, Fujisawa S, Okano H, Itokawa M, Hirokawa N, Kunii Y, Kakita A, Yabe H, Iwamoto K, Meno K, Katagiri T, Brian Dean B, Uchida K, Kimura H, Yoshikawa T:
Excess hydrogen sulfide and polysulfides production underlies a schizophrenia pathophysiology. EMBO Molecular Medicine e10695 (2019).
https://doi.org/10.15252/emmm.201910695

<プレスリリース>
理化学研究所
https://www.riken.jp/press/2019/20191028_1
AMED
https://www.amed.go.jp/news/release_20191028-02
山口東京理科大
http://www.socu.ac.jp/news/2019/10/post-449
A02計画研究代表者である理化学研究所・豊泉太郎チームリーダーとロベルト レガスピ研究員は、人の「主体感」の強さや主体感に応じた時間知覚の違いを「最適な感覚情報の統合」によって説明する理論を提案しました。
Legaspi R, Toyoizumi T,
A Bayesian psychophysics model of sense of agency Nature Communications10:4250 (2019)
https://doi.org/10.1038/s41467-019-12170-0

<プレスリリース>
理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190918_1
A02計画研究代表者である理化学研究所・豊泉太郎チームリーダーとルーカス クスミレス研究員は、ランダムな探索をロバストに行うためのリセット手法を提案し、その数理的性質を解析しました。
Kuśmierz Ł, Toyoizumi T:Robust random search with scale-free stochastic resetting
Physical Review E100, 032110 (2019)
https://doi.org/10.1103/PhysRevE.100.032110

A02計画研究代表者である理化学研究所・豊泉太郎チームリーダーと東京大学・河西春郎教授らは、自閉症モデルで観測されるシナプス揺らぎが神経回路の学習に与える影響を数理モデルを用いて解析しました。
Humble J, Hiratsuka K, Kasai H, Toyoizumi T: Intrinsic Spine Dynamics Are Critical for Recurrent Network Learning in Models With and Without Autism Spectrum Disorder
Frontiers in Computational Neuroscience 13:38 (2019)
https://doi.org/10.3389/fncom.2019.00038

A02計画研究代表者である理化学研究所・豊泉太郎チームリーダーと磯村拓哉研究員は、多次元の入力をもとに複数の状況下でブラインド情報源分離が可能であることを示し、新しい次元圧縮方法として提案しました。
Isomura T, Toyoizumi T: Multi-context blind source separation by error-gated Hebbian rule
Scientific Reports 9:7127 (2019)
https://doi.org/10.1038/s41598-019-43423-z

A02計画研究代表者である理化学研究所・豊泉太郎チームリーダーとロベルト レガスピ研究員らは、主体感のモデルを取り扱ったAI研究を総説としてまとめました。
Legaspi R, He Z,Toyoizumi T: Synthetic Agency: Sense of Agency in Artificial Intelligence
Current Opinion in Behavioral Sciences 29:84-90 (2019)
https://doi.org/10.1016/j.cobeha.2019.04.004

A02計画研究代表者である理化学研究所・豊泉太郎チームリーダーとベロイト大学・エリン モンロー クルル助教とストラスクライド大学・坂田秀三上級講師は、聴覚野の細胞外多電極データを独立信号源に分解することによって、大脳皮質5層付近に位置する信号源と、より深部に位置しシータ波振動する信号源を発見しました。
Munro Krull E, Sakata S and Toyoizumi T: Theta oscillations alternate with high amplitude neocortical population within synchronized states
Frontiers in Neuroscience13:316 (2019)
https://doi.org/10.3389/fnins.2019.00316

A01計画研究代表者である神戸大学・古屋敷智之教授らは、キリンホールディングス株式会社の阿野泰久研究員らとの共同研究により、乳清タンパク質酵素分解物に含まれるトリプトファンとチロシンからなるジペプチドが海馬のドパミン系を介して認知機能を改善することを発見しました。
Yasuhisa Ano, Tatsuhiro Ayabe, Rena Ohya, Keiji Kondo, Shiho Kitaoka,Tomoyuki Furuyashiki
Tryptophan-tyrosine dipeptide improves memory modulating the dopamine system.
Nutrients 11, 348 (2019).
https://doi.org/10.3390/nu11020348

A01計画研究代表者である神戸大学・古屋敷智之教授らは、社会挫折ストレスが脳を包む被膜である軟膜の細胞内シグナル伝達を活性化することを発見しました。
Satoshi Okamura, Hirotaka Nagai, Chisato Numa, Midori Nagai, Ryota Shinohara, Tomoyuki Furuyashiki
Social defeat stress induces phosphorylation of extracellular signal-regulated kinase in the leptomeninges in mice.
Neuropsychopharmacol Rep 39, 134-139 (2019).
https://doi.org/10.1002/npr2.12051

A01計画研究代表者である神戸大学・古屋敷智之教授らは、キリンホールディングス株式会社の阿野泰久研究員らとの共同研究により、乳清タンパク質酵素分解物に含まれるトリプトファンとチロシンからなるジペプチドが海馬のドパミン系を介して認知機能を改善することを発見しました。
Yasuhisa Ano, Tatsuhiro Ayabe, Rena Ohya, Keiji Kondo, Shiho Kitaoka,Tomoyuki Furuyashiki
Tryptophan-tyrosine dipeptide improves memory modulating the dopamine system.
Nutrients 11, 348 (2019).
https://doi.org/10.3390/nu11020348

A01計画研究代表者である神戸大学・古屋敷智之教授らは、キリンホールディングス株式会社の阿野泰久研究員らとの共同研究により、ホップ由来ビール苦味成分であるイソ-α酸が迷走神経を介して海馬のドパミン系を活性化し、認知機能を増強することを発見しました。
Yasuhisa Ano, Ayaka Hoshi, Tatsuhiro Ayabe, Rena Ohya, Shinichi Uchida, Koji Yamada, Keiji Kondo, Shiho Kitaoka, Tomoyuki Furuyashiki
Iso-α-acids, the bitter components of beer, improve hippocampus-dependent memory through vagus nerve activation. FASEB J 33, 4987-4995 (2019).
https://doi.org/10.1096/fj.201801868RR

A01計画研究分担者である東京農業大学・喜田聡はPTSD治療への恐怖記憶制御機構の応用に関するレビューを発表し、PTSD治療に対する海馬神経新生エンハンサーによる記憶忘却の有用性を提案しました。
Satoshi Kida Reconsolidation/Destabilization, Extinction and Forgetting of Fear Memory as Therapeutic Targets for PTSD. Psychopharmacology (Berl). 2019 Jan;236(1):49-57. doi: 10.1007/s00213-018-5086-2. https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00213-018-5086-2

A01計画研究分担者である東京大学・喜田聡は、神戸大学・古屋敷智之(A01計画研究代表)らとの共同研究で、社会的敗北ストレス課題を用いて、既存の治療薬メマンチン投与によりPTSDの原因であるトラウマ記憶を人為的に忘却させると、PTSD症状までもが改善されることを明らかにしました。今後の臨床応用が期待されます。令和元年8月2日朝日新聞に「薬でトラウマ消えた?マウスで確認、PTSD治療に光」と取り上げられました。
Rie Ishikawa, Chiaki Uchida, Shiho Kitaoka, Tomoyuki Furuyashiki, Satoshi Kida
Improvement of PTSD-like behavior by the forgetting effect of hippocampal neurogenesis enhancer memantine in a social defeat stress paradigm Molecular Brain 2019, 12:68
https://link.springer.com/article/10.1007%2Fs00213-018-5086-2

<プレスリリース>
東京大学
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/20190802-1

A03計画研究分担者である理化学研究所・吉川武男チームリーダーは、群馬大学・林(高木)朗子教授らとの共同研究で、ベタインという天然代謝産物が統合失調症の薬理学的モデルに有効であること、統合失調症の死後脳ではベタインが低下している一群があること、およびベタインの作用機序としては抗酸化ストレス作用が関係していること、などを報告しました。さらに、ベタインの有効性を予測するバイオマーカーとしてゲノム多型を見出しました。これらの結果から、ベタインの臨床試験が待たれます。
Ohnishi T, Balan S, Toyoshima M, Maekawa M, Ohba H, Watanabe A, Iwayama Y, Fujita Y, Tan Y, Hisano Y, Shimamoto-Mitsuyama C, Nozaki Y, Esaki K, Nagaoka A, Matsumoto J, Hino M, Mataga N, Hayashi-Takagi A, Kenji Hashimoto K, Kunii Y, Kakita A, Yabe H, Takeo Yoshikawa: Investigation of betaine as a novel psychotherapeutic for schizophrenia. EBioMedicine 45: 432-446, 2019. DOI: https://doi.org/10.1016/j.ebiom.2019.05.062
July 2019の表紙に採用されています。https://www.ebiomedicine.com/current

<プレスリリース>
理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190627_1

A01公募研究代表者である京都大学大学院医学研究科・下野昌宣准教授、伊出沙耶同研究員らの研究グループは、3Dスキャン技術を解剖生理学に応用し、細胞分布のスケールに迫る精度で、脳全体のスキャン画像を重ね合わせられる事を実証しました。
Ide, S., Kajiwara, M., Imai, H., Shimono, M. 3D Scanning Technology Bridging Microcircuits and Macroscale Brain Images in 3D Novel Embedding Overlapping Protocol. J. Vis. Exp. (147), e58911, doi:10.3791/58911 (2019).
https://www.jove.com/video/58911/3d-scanning-technology-bridging-microcircuits-macroscale-brain-images

<プレスリリース>
京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/190513_2

計画班A03研究代表者、京都大学大学院医学研究科 林 康紀 教授、実吉 岳郎 同准教授らの国際共同研究グループは、学習・記憶の細胞基盤である長期増強現象(LTP)を解析し新しい分子記憶の原理を発見しました。
Takeo Saneyoshi, Hitomi Matsuno, Akio Suzuki, Hideji Murakoshi, Nathan G. Hedrick, Emily Agnello, Rory O’Connell, Margaret M. Stratton, Ryohei Yasuda and Yasunori Hayashi : Reciprocal activation within a kinase-effector complex underlying persistence of structural LTP Neuron DOI: 10.1016/j.neuron.2019.04.012

<プレスリリース>
京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2019/190509_1
PDFはこちら
A03計画研究分担者である理化学研究所・吉川武男チームリーダーは、理化学研究所・田中元雅チームリーダーとの共同研究で、細胞内のタンパク質分解に関わる「オートファジー機能」の欠損によるタンパク質恒常性の低下が、細胞表面におけるGABAA受容体量の減少を介して自閉症様の行動を誘導することを見出しました。オートファジーとは、細胞が自らの細胞内成分を分解する主要なメカニズムです。オートファジー機能の制御に重要な遺伝子の変異が自閉症患者の一群に見られることから、オートファジーと自閉症の関連のメカニズムの一端が明らかになりました。
Hui KK, Takashima N, Watanabe A, Chater TE, Matsukawa H, Nekooki-Machida Y,Nilsson P, Endo R, Goda Y, Saido TC, Yoshikawa T, Tanaka M: GABARAPsdysfunction by autophagy deficiency in adolescent brain impairs GABA A receptortrafficking and social behavior. Sci Adv. 2019 Apr 10;5(4):eaau8237. doi:10.1126/sciadv.aau8237.
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6457945/pdf/aau8237.pdf

<プレスリリース>
理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190411_1
A03計画研究分担者である理化学研究所・吉川武男チームリーダー、豊島学研究員は、千葉大学社会精神保健教育研究センターの橋本謙二教授、米国University of California, DavisのHammock教授との共同研究で、自閉症スペクトラム障害や統合失調症などの神経発達障害の病因に、多価不飽和脂肪酸の代謝に関わる可溶性エポキシド加水分解酵素(sEH: soluble epoxide hydrolase)の異常が関与していることを明らかにしました。統合失調症患者のiPS細胞から分化した神経細胞におけるsEHの遺伝子の高発現や、神経発達障害の脳(前頭皮質)でのsEHの高発現から、抗炎症作用を有するエポキシ不飽和脂肪酸の低下が疾患発症に繋がっている可能性が考えられます。今回の研究成果は、脳の炎症反応を標的にした、神経発達障害の新しい予防薬・治療薬の開発に役立つものと期待されます。
Ma M, Rena Q, Jun Yang J, Zhang K, Xiong Z, Ishima T, Toyoshima T, Iwayama Y, Hisano Y, Yoshikawa T, Hammock BD, Hashimoto K: Key role of soluble epoxide hydrolase in the neurodevelopmental disorders of offspring after maternal immune activation. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, in press. doi: 10.1073/pnas.1819234116 www.pnas.org/content/pnas/early/2019/03/18/1819234116.full.pdf

<プレスリリース>
理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2019/20190320_1

千葉大学
http://www.chiba-u.ac.jp/general/publicity/press/files/2019/310319Y2.pdf

UC Davis News
https://ucanr.edu/blogs/blogcore/postdetail.cfm?postnum=29702


A03計画研究分担者である理化学研究所・吉川武男チームリーダー、島本(光山)知英基礎科学特別研究員は、従来のノックアウトマウス作成法では、ES細胞由来のゲノム断片が交配を重ねても取り除けず、結果の解釈が難しく なることをFabp7遺伝子の例で実証しました。したがって、これまでのES細胞由来のノックアウトマウスを用いた結果の一部は、解釈に慎重を要する場合があると思われます。
Shimamoto-Mitsuyama C, Tetsuo Ohnishi T, Shabeesh Balan S, Ohba H, Watanabe A, Maekawa M, Hisano Y, Owada Y. Yoshikawa T: Elucidation of the role of fatty acid-binding protein 7 in controlling schizophrenia-relevant phenotypes using newly established knockout mice. Schizophrenia Research, in press.
www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0920996419300520?via%3Dihub
A02計画研究代表者である理化学研究所・柚木克之上級研究員は、東京大学・黒田真也教授との共同研究によりリン酸化プロテオームをリン酸化する側(キナーゼ層)とリン酸化される側(細胞機能層)の2つに分け、両者の間のリン酸化ネットワークを再構築する技術を開発しました。
Kentaro Kawata Katsuyuki Yugi (co-1st auth) Atsushi Hatano Toshiya Kokaji Yoko Tomizawa Masashi Fujii Shinsuke Uda Hiroyuki Kubota Masaki Matsumoto Keiichi I. Nakayama Shinya Kuroda, Reconstruction of global regulatory network from signaling to cellular functions using phosphoproteomic data.
Genes to Cells, Epub ahead of print. DOI:https://doi.org/10.1111/gtc.12655
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A03計画研究分担者である理化学研究所・吉川武男チームリーダー、江崎加代子基礎科学特別研究員は、イスラエル工科大学のWolosker教授との共同研究で、アミノ酸交換体であるASC1、ASC2のうちASC1がアストロサイトにおけるD-セリンの流入、L-セリンの排出・ニューロンへの供給の役割を果たしていることを見出しました。D-セリンは、NMDA型受容体の内在性の共アゴニストで、統合失調症病理との関連で興味を持たれていますが、ASC1-KOマウスは、今後統合失調症のメカニズムや代謝に着目した治療方策を考える際、有用と思われます。
Kaplan E, Zubedat S, Rechnitz O, Sason H, Radzishevsky I, Sajrawi C, Bodner O, Konno K, Esaki K, Derdikman D, Yoshikawa T, Watanabe M, Billard J-M, Avital A, Wolosker H: The ASCT1 (Slc1a4) Transporter is a Physiologic Regulator of Brain D-Serine and Neurodevelopment. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 115: 9628-9633, 2018. www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1722677115
PDFはこちら
A02計画研究代表者である理化学研究所・柚木克之上級研究員、東京大学・黒田真也教授、川田健太郎大学院生、幡野敦特任助教らの共同研究グループは、リン酸化プロテオーム、トランスクリプトーム、メタボロームデータを統合して大規模代謝制御ネットワーク (トランスオミクスネットワーク)を再構築する技術を開発しました。当該技術を応用することにより、インスリンの濃度に依存してトランスオミクスネットワークが選択的に応答することを明らかにしました。
Kentaro Kawata, Atsushi Hatano, Katsuyuki Yugi (co-1st auth), Hiroyuki Kubota, Takanori Sano, Masashi Fujii, Yoko Tomizawa, Toshiya Kokaji, Kaori Y. Tanaka, Shinsuke Uda, Yutaka Suzuki, Masaki Matsumoto, Keiichi I. Nakayama, Kaori Saitoh, Keiko Kato, Ayano Ueno, Maki Ohishi, Akiyoshi Hirayama, Tomoyoshi Soga, Shinya Kuroda Trans-omic Analysis Reveals Selective Responses to Induced and Basal Insulin across Signaling, Transcriptional, and Metabolic Networks iScience Vol.7 pp.212-229. DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2018.07.022

<プレスリリース>
理化学研究所
http://www.riken.jp/pr/press/2018/20180911_1

東京大学
https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2018/6031/

科学技術振興機構
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20180911